
2011年01月28日
2011年 動く市場 賑わう市場 中古注文住宅 取引不安とリスクをヘッジした中古住宅に火がつく
(2011/01/28 ハウジング・トリビューン)
【この記事はPDFでもご確認いただけます】
消費者の認知がさらに進む
2010年12月、首都圏の中古住宅市場に動き
東日本レインズの「月例速報マーケットウォッチ」によると、首都圏の中古住宅市場に変化の兆しが見て取れる。
2010年12月時点での最新データを見ると、中古マンションの成約件数は前年比4.5%増(2265件)と8カ月ぶりに増加した。また、この一方で新規登録状況も増えている。首都圏では昨年8月から前年比で二桁台で推移しているが、12月は26.6%と大幅に増加したのだ。
中古戸建て住宅も同様の傾向にある。中古戸建て住宅の成約状況は前年比3.3%増(819件)となった。新規登録状況も増加しており、首都圏では同11.1%増(4407件)で最近では珍しく二桁台の伸びとなっている。
東京都と神奈川県、千葉県では11月および12月と連続で増加。とくに千葉県では同24.2%で首都圏の新規登録件数を底上げしている。
新規登録価格と成約価格に差、売り手と買い手にギャップ
首都圏の中古住宅市場は活性化してきていると言えそうだが、売り手と買い手のギャップもまた覗える。それを示すのが成約価格と新規登録物件の価格の違いだ。
中古マンションの12月どの成約価格は平均2608万円(前年比4.0%増)だが、新規登録物件の価格は平均2808万円。成約価格に比べて200万円高い。
また成約価格の築年数は平均17.69年だが、新規登録物件では19.36年。より築年数の古い物件が登録されるとともに売出時の値段は高くなっている。なお、成約件数及び新規登録物件ともに価格は12ヶ月連続で増加基調にある。
さらに在庫件数も増えている。首都圏では同15.6%増(3万4324件)。10月から3カ月連続の二桁増となった。
中古戸建住宅もほぼ同じだ。12月度の成約価格は同6.5%増の3150万円だが、新規登録物件の価格は同1.6%減で3898万円だった。こちらは実に748万円もの開きがあるのである。
安心して中古住宅を売買できる手法に消費者も注目
こうしたなか、売出時の価格と成約時の価格の溝を埋め、中古住宅流通の活性化をさらに後押しするメニューが今年一層注目されそうだ。中古住宅を流通させる際、リフォームやリノベーションを施し、さらに「安心」を付加して販売する方法である。
「安心」とは、建物検査を取り入れ、耐震性の確保を含めたリフォームを実施すること。さらにリフォーム費用と中古住宅費用をあらかじめ一緒にして中古住宅ローンとして組んでしまい、買主はリフォーム費用も月々のローン返済のなかで支払うことで負担を減らす手法である。
加えて耐震基準適合証明を取得して税制優遇措置を受けたりフラット35Sによる長期固定金利での借り入れも実現する。新築よりも安い価格で、さまざまな優遇策を受けながら、自分たちの住まいを実現できる中古重太kうの取得方法に一部の消費者が気づき始めている。
こうしたビジネスモデルへの取り組みについては、大手ハウスメーカーで組織される「優良ストック住宅推進協議会」のスムストックや一般社団法人・リノベーション住宅推進協議会による取り組み、さらにはエイムの「リニュアル仲介」といったシステムがある。
とくに「リニュアル仲介」の場合は、住宅検査会社、指定保険法人、モーゲージバンク、リフォーム会社、不動産仲介会社などと網羅的なネットワークを組んでいるのが特徴。同社の西生建社長は「まだ実績は出始めたところだが、手応えは十分に感じている。将来振り返った時、2011年が節目の年となるかもしれない」とこうした中古住宅売買が軌道に乗る兆しを見せている。
国も補助金で後押し
国もこうしたビジネスを後押ししている。
国土交通省では2010年度から「既存住宅流通等活性化推進事業」を展開。既存住宅の質をリフォームなどで向上させて流通させる際、100万円を上限に補助している。
インスペクション(住宅検査)を前提とした既存住宅向け保険及びリフォーム保険の活用ほか、住宅履歴情報の整備を条件としている。
この事業には「既存住宅流通タイプ」と「リフォーム工事タイプ」の2種類があるが、2011年1月14日現在の実績は「既存住宅流通タイプ」が879戸(約6億3000万円)、「リフォーム工事タイプ」が7788戸(約48億3800万円)となる。やりやすさという点で「リフォーム工事タイプ」の採用が多い
しかし、「既存住宅流通タイプ」は当初はなかなか実績が出てこなかったものの、その数は着実に増えている。国交省によると「リフォームと仲介の両方を手がける事業者の採用割合が一番多いのではないか」(住宅瑕疵担保対策室)としている。例えば、事業者が中古物件を購入し、それにリフォームをして保険も付け、転売するスタイルだ。建物検査が入り、保険がつき、履歴情報まで整備した中古住宅が流通し始めているのである。
2011年度もこの施策は引き続き行われるが、今回は「リフォーム工事タイプ」はなくなり、「既存住宅流通タイプ」のみを行う予定。予算総額は約23億5000万円。来年度は補助事業に加えて調査研究も行う。実際に補助事業を活用した事例から「どのようなリフォームをした物件がどのように評価されて流通しているのか。その実態を調べていきたい」(同)としている。
「一度お客が知ったら絶対に離れない」(エイム西生社長)という「リノベ+安心」付の中古住宅。2011年は大きな飛躍を遂げる可能性を秘めていると言えるだろう。
(2011/01/28 ハウジング・トリビューン)
【この記事はPDFでもご確認いただけます】
消費者の認知がさらに進む
2010年12月、首都圏の中古住宅市場に動き
東日本レインズの「月例速報マーケットウォッチ」によると、首都圏の中古住宅市場に変化の兆しが見て取れる。
2010年12月時点での最新データを見ると、中古マンションの成約件数は前年比4.5%増(2265件)と8カ月ぶりに増加した。また、この一方で新規登録状況も増えている。首都圏では昨年8月から前年比で二桁台で推移しているが、12月は26.6%と大幅に増加したのだ。
中古戸建て住宅も同様の傾向にある。中古戸建て住宅の成約状況は前年比3.3%増(819件)となった。新規登録状況も増加しており、首都圏では同11.1%増(4407件)で最近では珍しく二桁台の伸びとなっている。
東京都と神奈川県、千葉県では11月および12月と連続で増加。とくに千葉県では同24.2%で首都圏の新規登録件数を底上げしている。
新規登録価格と成約価格に差、売り手と買い手にギャップ
首都圏の中古住宅市場は活性化してきていると言えそうだが、売り手と買い手のギャップもまた覗える。それを示すのが成約価格と新規登録物件の価格の違いだ。
中古マンションの12月どの成約価格は平均2608万円(前年比4.0%増)だが、新規登録物件の価格は平均2808万円。成約価格に比べて200万円高い。
また成約価格の築年数は平均17.69年だが、新規登録物件では19.36年。より築年数の古い物件が登録されるとともに売出時の値段は高くなっている。なお、成約件数及び新規登録物件ともに価格は12ヶ月連続で増加基調にある。
さらに在庫件数も増えている。首都圏では同15.6%増(3万4324件)。10月から3カ月連続の二桁増となった。
中古戸建住宅もほぼ同じだ。12月度の成約価格は同6.5%増の3150万円だが、新規登録物件の価格は同1.6%減で3898万円だった。こちらは実に748万円もの開きがあるのである。
安心して中古住宅を売買できる手法に消費者も注目
こうしたなか、売出時の価格と成約時の価格の溝を埋め、中古住宅流通の活性化をさらに後押しするメニューが今年一層注目されそうだ。中古住宅を流通させる際、リフォームやリノベーションを施し、さらに「安心」を付加して販売する方法である。
「安心」とは、建物検査を取り入れ、耐震性の確保を含めたリフォームを実施すること。さらにリフォーム費用と中古住宅費用をあらかじめ一緒にして中古住宅ローンとして組んでしまい、買主はリフォーム費用も月々のローン返済のなかで支払うことで負担を減らす手法である。
加えて耐震基準適合証明を取得して税制優遇措置を受けたりフラット35Sによる長期固定金利での借り入れも実現する。新築よりも安い価格で、さまざまな優遇策を受けながら、自分たちの住まいを実現できる中古重太kうの取得方法に一部の消費者が気づき始めている。
こうしたビジネスモデルへの取り組みについては、大手ハウスメーカーで組織される「優良ストック住宅推進協議会」のスムストックや一般社団法人・リノベーション住宅推進協議会による取り組み、さらにはエイムの「リニュアル仲介」といったシステムがある。
とくに「リニュアル仲介」の場合は、住宅検査会社、指定保険法人、モーゲージバンク、リフォーム会社、不動産仲介会社などと網羅的なネットワークを組んでいるのが特徴。同社の西生建社長は「まだ実績は出始めたところだが、手応えは十分に感じている。将来振り返った時、2011年が節目の年となるかもしれない」とこうした中古住宅売買が軌道に乗る兆しを見せている。
国も補助金で後押し
国もこうしたビジネスを後押ししている。
国土交通省では2010年度から「既存住宅流通等活性化推進事業」を展開。既存住宅の質をリフォームなどで向上させて流通させる際、100万円を上限に補助している。
インスペクション(住宅検査)を前提とした既存住宅向け保険及びリフォーム保険の活用ほか、住宅履歴情報の整備を条件としている。
この事業には「既存住宅流通タイプ」と「リフォーム工事タイプ」の2種類があるが、2011年1月14日現在の実績は「既存住宅流通タイプ」が879戸(約6億3000万円)、「リフォーム工事タイプ」が7788戸(約48億3800万円)となる。やりやすさという点で「リフォーム工事タイプ」の採用が多い
しかし、「既存住宅流通タイプ」は当初はなかなか実績が出てこなかったものの、その数は着実に増えている。国交省によると「リフォームと仲介の両方を手がける事業者の採用割合が一番多いのではないか」(住宅瑕疵担保対策室)としている。例えば、事業者が中古物件を購入し、それにリフォームをして保険も付け、転売するスタイルだ。建物検査が入り、保険がつき、履歴情報まで整備した中古住宅が流通し始めているのである。
2011年度もこの施策は引き続き行われるが、今回は「リフォーム工事タイプ」はなくなり、「既存住宅流通タイプ」のみを行う予定。予算総額は約23億5000万円。来年度は補助事業に加えて調査研究も行う。実際に補助事業を活用した事例から「どのようなリフォームをした物件がどのように評価されて流通しているのか。その実態を調べていきたい」(同)としている。
「一度お客が知ったら絶対に離れない」(エイム西生社長)という「リノベ+安心」付の中古住宅。2011年は大きな飛躍を遂げる可能性を秘めていると言えるだろう。